桜がアスファルトの上で舞っている。桜に攫われそうな人、という例えがあるが、私の目の前にいる彼、ヒカルは実際そんな雰囲気を纏っている。そんな人間が実在するとは、と彼に出会ったとき驚いたものだ。色が白く、髪を薄いブラウンに染めて、中性的な顔立ちに低めの身長。「そんなに弱くないんだけどな」と、彼は言った。
その言葉に私はとても驚いた。彼はそんな私の様子を見て嬉しそうにクスクスと笑った。 「ありがとうございます。そう言っていただけで嬉しいです。自分でも気に入っているんですよ」
作者に会えた驚きはあったが、こんな透明な人が書いていた、という事実は意外ではなかった。